2023/01/24 22歳の原点ノート「日記」
昨日の日記を書き終えたのが深夜一時頃。
徹夜後の丸一日を過ごしたと言うのに、深夜三時を若干過ぎるまで遊んでいた。
久々の眠りに就き、午前一〇時のアラームで目を覚ます。
七時間の睡眠を守る為に、煩いアラーム音を無視して目を瞑る。
一時間経った所で、布団から出る。
相変わらず、というよりはいつもに増して寒い。
風も強く、玄関のドアが音を立てている。
それに加え、さっきからドアの外でガサガサと聞こえているのが気に成った。
まずはシャワーを浴びる。
この部屋のシャワーはお湯の出が悪い。
温度調節を六〇度に設定して、水と一緒に出せば勢い良く使う事が出来る。
今月の始めまではそうしていたのだが、今回のガス料金が高額だった事も有り、四〇度の設定に戻す事にした。
丁度良い温度のお湯が体に纏わり付く程度には流れてくるので、対して苦では無かった。
風呂場を出て顔にオイルを塗ると、今日の服に着替える。
直ぐに出かけるつもりだったので、コンタクトを久々に装着し、ワックスで髪の両サイドを後ろに流す。
溜まった洗い物籠を持って、玄関のドアを開ける。
外は薄い雪が降っていた。
隣の部屋のドアが開いており、人影も見えた。
ドアの横にはダンボールが積み上がっている。
何度かこの光景を見ていた。
作業をしている人間は、大人だろうが背が小さく、顔が造形が受け付けない。
加えて独特な匂いもするので、不気味だ。
何の作業をしているのか?と尋ねたいが、話し掛けたくない。
僕は外付けの洗濯機に籠の中身を流し入れ、洗剤を加えてからスイッチを押した。
キッチンでボールを用意し、ホットケーキミックスと水、卵を混ぜ合わせる。
オリーブオイルを入れ、フライパンが温まってから生地を流し込む。
蓋をして、ある程度焼いてからフォークでひっくり返す。
出来上がったものを、チョコレートクリームを乗せて食べる。
カップの中には、同じ量が一.五回分残っている。
同じ作業をし、二回目を食らう。
お腹が膨れたので、残りの生地はそのままにしておく。
暫く動画を見ていたら洗濯完了の音が成ったので、洗濯物を取り出す。
冷たい衣類を部屋の中に干す。
PCを持って部屋を出た。
隣の部屋方面の通路に歩きだす。
中を覗いて驚いた。
部屋の玄関がダンボールでぎっしり詰まっている。
男は玄関で脚立に上り、入り口壁と積み上げられたダンボールの上に顔を埋めた状態だ。
訳が分からない。
聞きたい事が山程有るが勇気を絞れず、そのまま出掛けた。
今度出くわしたら、聞こう。
気になって仕方が無い。
まずはSeriaに向かう。
白の下地絵の具を追加で二本買った。
廊下を渡り穴場を覗くとやはり居る学生達と、昨日図書館の作業スペースで見掛けた落ち着きの無い男性で三席埋まっていた。
時刻は一三時なのだが、学生は午前で開放の時期なのだろうか?
男性もここのスペースを見つけてしまった。
もう既に穴場では無く成ってきているのかも知れない。
他に良い穴場は無いものだろうか?
仕方なく図書館に向かい、PCを開くと充電が切れ掛かっていた。
結局下の席が取れても意味が無かった、とホッとする。
社会人コーナーを借り、充電器を差し込む。
タイプやクリックがし辛いこの場での作業。
対策としてペンタブをバッグに入れてきた。
家主の名刺のデザインを進める。
メールのアイコンがについて、昨日飛行機の簡単なアイコンを作っていた。
それと手紙のマークを並べてみるが、しっくりこない。
暫く考えて閃いた。
手紙のマークが飛行機の一部に見え、それに繋げて飛行機を描いてみる。
手紙だと分かり易い様にその箇所を白、その他を灰色にした。
悪く無い発想だ。
充電を終え場所を変える。
1Fのイートインは満席だ。
平日の昼間だと言うのに、最近人が多い。
4Fをもう一度覗いてみると、久しぶりに誰も居ない。
やはりここは一番静かで捗る。
名刺の文字の位置の調整を繰り返し、ようやく一案目が完成する。
それを色を変えたり、上下入れ替えたりしてパターンを用意する。
全部で九案用意するのに、それぞれにパターンを追加したら大量に成ってしまう。
本来ならば多過ぎても、客が迷ってしまい決め辛いので悪しとされている。
しかし僕はまだ駆け出しの為、ポートフォリオに多く作品を追加したい。
気が済むまで時間を掛け、気が済むまで作っていこうと思っている。
見せに行くのは、三月の賃貸契約更新の時だ。
作業を一旦止め、珍しく読書をすることにした。
借りてから返却日がかなり過ぎた、”二十歳の原点ノート 一四歳から一七歳の日記”をだ。
彼女の日記は自分よりも文章が拙く見えた。
直ぐに考えを改めた。
これは彼女が一四歳の頃書いた序章の文だ。
自分は一四歳の頃、こんなものは書けないし、続けられなかった。
将又彼女は、その後立命館大学に入学すると前書きにある。
しっかり勉強をしていた人間の日記なのだ。
そんな彼女に追い抜かれ無い様な日記を書いていこう。
彼女は自分の日記に名前を付けた。
当時友達が欲しかった彼女は、名付けた相手を何でも話せる”永遠の友”として向き合っていた。
日記は二ヶ月飛んだりもする。
まだ継続という意味では、追い付かれ無い様に頑張れる。
読書もこれからは、一日一時間ぐらい習慣として読もう。
途中で高校生が戻ってくる。
少し早いが出る事にしよう。
クレメント4Fの”Can do”という一〇〇円ショップに寄る。
急に名前で呼ぶ様に成ったのは、別に日記なんてものは固有名詞なんていくらでも出して良いのだ、と気が付いたからだ。
ちなみにいつも使っているメッセージとは”LINE”である。
アミコにオープンしたSeriaでは、食品が置かれていない。
ホットケーキに付けるシロップが欲しかった。
完食用に柿の種も合わせて購入する。
馬鹿みたいに寒い夜道を歩いて部屋に戻る。
同じ手順で残りの生地を焼き皿に移した後、砂糖を薄く振りかけメイプルシロップを掛けた。
食べてみると甘ったるいが、まあ美味しい。
塩味にバターが欲しい所だ。
続けて、唐揚げを一人前、ホットケーキの生地がこびり付いたボールに入れる。
ちょっとした発想で、柿の種を加えて砕く。
片栗粉を眩して混ぜ合わせ、温まった油に放り込む。
弱火にじっくり火を通し、キッチンペーパーを敷いた俎板に唐揚げを積んでいく。
食べてみると、あまり美味しくない。
生地自体に味が無いのだ。
これなら漬け地を吸った片栗粉の方が味を感じられるだろう。
一応今日までの消費期限なので、最後の一パックも食べる事にした。
同じボールに出し片栗粉だけを使って作ると、やはりこちらの方が美味しい。
湯船に浸かって体を温める。
出る時が寒い。
ジャージに着替え、絵の具の下地を塗り始める。
いくら気をつけても、抜け毛が絵の具の上に乗ってしまう。
板を壁に立ててしまえば良いのだ。
何故画家がイーゼルに作品を立てて描いているのか、を身に沁みて理解した。
それに、正面から見ないと遠近感覚も狂うだろう。
今度ズンとこの家で焼き肉をする為に、壁面にも新聞を貼っておいたのが良かった。
作業を終え、日記を書き始める。
これが終わったら、明日は月に一度の不燃ゴミの日。
寒いけど、今日中に捨てに行こう。
これで不要なものが部屋から少し無くなる。