zxcvbnmTKの日記

毎日の出来事を綴ります。

2023/01/19 22歳の原点ノート「食料」

一晩寝ていない。

緊急事態が起こったのだ。

日記のネタには成るかもしれないが、流石に気が滅入る。

なんせ鼠が現れたのだ。

コンタクトも外し、キッチンに背を向けて足を伸ばしていた。

後方から、リズムを刻んだ音が聞こえて来る。

思い返せば、以前から同じような音が聞こえていた。

それなのに、今までは賃貸の水道管か何かの音だと思い混んでいた。

しかし今日は、野菜の袋がガサゴソと音を立てている。

最初はゴキブリだと思ったからこそ、無視は出来なかった。

スタンドデスクに置いてあったメガネを付け、目を凝らす。

その瞬間、明らかにゴキブリよりも大きな物体がキッチンの裏に入っていった。

直ぐに鼠だと確信した。

動物故に、ちょっとした事では潰れない。

ゴキブリよりも質が悪い。

直ぐに対処法を検索する。

鼠の駆除、鼠 駆除 依頼 値段、鼠 駆除 バルサン、身体 湿疹 イエダニ、鼠捕りシート 値段、紗倉まな 記者会見、賃貸マンション 構造、自分で 鼠 駆除、鼠は何処から入ってくる?、鼠 一匹居たら何匹いる?

知恵袋やYouTubeも交えて調べ尽くす。

その間にも鼠はキッチン下の野菜を嗅ぎ回り、引っ込んだかと思えば管を通る音が上へと続き、屋根裏から足音が聞こえてくる。

これも思えば聞いた事がある音だ。

しかも前の物件、前の前の物件でも聞いた様な気がする。

何故気が付かなかった!

まず、キッチン下に野菜を置くのを止めよう。

朝になったらネズミ捕りシートを買いに行こう。

そして今は、その事について考えても仕方ない。

動画でも見て気を紛らわそう。

深夜三時頃、鼠が屋根裏に上ってから戻って来なく成った。

その頃には、動画に熱中してしまっていた。

グダグダと動けずにいると、とうとう朝が来て、あっという間に昼に成った。

一時間後、ハローワーク雇用保険失業手当の説明会に参加しなければいけない。

シャワーを浴びる。

屋根裏に通ずる蓋があるので、念のためノックしてから突き上げる。

流石に上を見る勇気はなかったが、開くようだ。

体中の湿疹は治まる気配が無い。

鼠に寄生し吸血する、感染症を媒介する”イエダニ”という生物が存在するらしい。

その症状を調べてみる。

赤みや痒みの症状、肌にポツポツとした発疹が出来て、特に太ももや腹回りが痒くなるそうだ。

正しく、その通りの症状が出ている。

しかし、対処出来ない内に悩んでも仕方が無い。

むしろ、今は無理だと割り切って、楽しい事を考えるんだ。

そして、時が来たら向き合う。

その為の大まかな下調べと計画は出来ている。

部屋を見た限り、侵入経路はキッチンの水道管の奥しか無いだろう。

板が邪魔で奥がどう成っているのかが見えない。

おそらく屋根裏へ通じるルートが有る筈だ。

今日、ネズミ捕りシートをキッチンに敷き詰めて、掛かるかを試す。

掛かろうが掛かるまいが、明後日には邪魔な板を取り外して、木板と釘で穴を塞いでやる。

この問題を解決すれば、また安息が取り戻せる筈だ。

無駄な労力を負わせやがって!

雇用保険の説明会に向かう。

意外に人が多く、年配が多い。

一〇分前に入場したら、席があまり無い。

眠くて仕方が無い。

ルール説明が成される。

今日から審査が七日、受給制限が三ヶ月、その後三ヶ月分の給付が成される。

月に二回、活動実績をアピールしなければいけない。

面談をすれば実績に成るので余裕だと思っていた。

しかし、ハローワーク側の提案を”正当な理由”が無く断り続ければ、一ヶ月の遅延が発生する。

あくまで就職する意気込みは見せておく必要が有りそうだ。

直接聞かず、家に戻ってから電話を掛けた。

例えば自分が承諾したい、と思えなければ”正当な理由”に成るのか?

それについては、基本的に深く考えなくても延長は起こらないのだと言う。

答えに成って無いのだが、まあ、何とかなるか。

その他、細かいことを質問して電話を切った。

よし、奴が動き出さない間に買いに行こう。

ドラッグストアで一〇枚入り一二〇〇円の鼠捕りシートを籠に入れる。

リュックで来たので、ついでに五キログラムのあきたこまちを買う事にした。

そしてポテトチップスLサイズも加えて会計する。

今日は家に有るものを食べたく無い。

久々のポテチ爆食いだ。

ふと思った。

何故こんなに生活が厳しいのに、肉じゃがやら何やらを作ってるんだろう。

確かに料理は楽しみの一つに成っていた。

しかし、鼠の被害に遭って汚れたり、管理も大変だ。

それならば、そのまま食べられるものだけで生活した方が楽では無いか?

創作を本気で取り組みたいなら、料理に使っている時間は無駄では無いか?

毎日食パン、プロテイン、ビタミン剤、とまでは言わないが、もっと効率の良い食生活が有るのでは無いか?

今は頭が働いていないのだから、只の思いつきに留めておこう。

帰ってすぐに恐る恐る、キッチン下の野菜や調味料等を全て取り出す。

一つ一つ、齧られた跡が無いか確認する。

意外なことに齧られたのは、白菜の先端だけだった。

しかし、齧られたと言う事実は確かではあった。

更だった筈のラップが破けている。

他の野菜は直ぐに冷蔵庫に詰め、調味料は冷蔵庫の上に並べる。

とりあえず、鼠が飛び出して来なくて良かった。

鼠捕りシートを一〇枚全て並べる。

仮に中を突破してフローリングに攻めて来たとしてもその先にも並んでいる。

壁を伝ってくる可能性を考えて、サラダ油を塗る事にした。

思い付きなので効果が有るのかは分から無い。

菌を流す為に風呂場へ移動する。

替えの石鹸を買い忘れた。

仕方が無い、疲れているんだ。

届いたダンボールを開封し、絵具の色を見て気を紛らわす。

240mlボトルに入ったアクリル絵の具が、一八色もある。

ポテチを一人で貪り、歯を磨く。

直ぐに、PCを持って家を出た。

インスタントのうどんや蕎麦をカバーするものが必要である。

一〇〇均でプラスチック容器を籠に入れ、ついでに酸っぱいガムを四つ買っていく。

アミコに向かう途中でガムを全て飲み込み、エレベーター前のゴミ箱に捨てる。

4Fに寄ってみるが、奴らは三日連続で溜まっている様だ。

まあ良い、どうせ高校卒業したら居なく成る。

僕は創作生活を続ける限りはここに通うつもりだ。

図書館に移動する。

過酷な一日を僕が過ごしていたとしても、今はまだ一八時だし、周りの人間はそれを当たり前だと思っている。

その後、図書館の閉館時間まで日記を書き続けた。

帰りたくない。

罠に掛かっている鼠を見たくないし、掛かっていないのもがっかりだ。

だが、一刻も早くコンタクトを外して寝たい。

文章はいつも以上に気持ち悪いので、修正にも一苦労だ。

ちなみに鼠は掛かっていなかった。