2023/01/03 「22歳の原点ノート」
僕は夜食を買いに行くことにした。
ワンカップの日本酒か焼酎、一番安いものにしよう。
夕食はカレーチェーン店で済ませていた。
できるだけ安価なトッピングのもので、白身フライの乗ったカレーを食べた。
普段なら飲食店での散財はしないようにしているのだが、昨日は特別だ。
なぜなら日を跨ぐ四時間ほど前、思わぬアクシデントに苛まれていたからだ。
新しい服が欲しくなった僕は、家から徒歩十五分ほどにある古着屋へ向かった。
既存の柄シャツに合わせるアウターを選び、上下セットのもうワンパターン、コーディネートの種類を増やす事ができた。
計四点で、二六〇〇〇円の散財は、出かける前から覚悟していた額の範囲内だった。
周りは年始の飲み会で集まった人々で賑わっていた。
帰りに早仕舞いのスーパーにぎりぎり駆け込んで、ハンバーガー用のバンズとすぐに食べる用の半額菓子パンだけ購入した。
街行く人々とイルミネーションの明かりを眺めながら、気分良く帰宅した。
部屋の鍵を挿し回そうとしたが、何かが支えているように動かなかった。
五分ほど施行してみても埒が明かず、すぐに苛立ちがこみ上げた。
鍵屋に電話し受付に待たされた挙げ句、年始の都合上対応できる人間がいないと言われた。
ホームページでは三六五日を謳っているのに、腹立たしい。
スマホで対策を探り、鉛筆の芯の粉を使った方法を用いようと決めた。
最寄りのコンビニで鉛筆の値段を見たが、百五十円を払うのがバカバカしく思えた。
そこで思い立ったのが、近くのカレー屋だ。
たしかあそこには意見を書くために鉛筆が置いてあった気がする。
晩御飯もまだだったため、一石二鳥だと考えた。
カウンターの着くと、置かれていたのは鉛筆ではなくボールペンだった。
がっかりしながらも、せっかくの外食を楽しむことにした。
揚げ物の乗った一番安いメニューである白身フライカレーを注文する。
調味料に目を向けると特製の辛味パウダーがおいてあり、すぐに思い立った。
この際粉であれば何でもいい。
紙ナプキンに鉛筆の粉の代わりに香味パウダーを包み、カレーを平らげて部屋の前に戻った。
結論から言うと、なんの役にも立たなかった。
しかたなく奥の手を使うことにした。
ポストからギリギリ入る左手を入れ鍵を回すと開けることができる。
なぜ最初にやらなかったかというと、痛みを伴う上にいくら頑張っても開かないときがあるからだ。
だが、その日は5分ほど苦闘した後、開けることに成功した。
念のためドアを開けたまま、鍵を締めて外側から鍵を回してみても、やはり回らなかった。
ドアノブを分解し、手元で試行錯誤してみると、あることに気がついた。
最初に付いていた状態から上下を反転させて見れば、鍵を開けられるのだ。
前日まで機能していたことを考えるとおかしな話だが、深く考えないことにした。
細かい問題を少しずつ解決し、調査開始から丸一時間ほどで修理に成功した。
これでようやく前日の話が終わりだ。
日記にしては、長すぎるだろうか?
災難が去ったことからそれなりに穏やかな気分で、動画を見ていた。
深夜三時にもなると、抜け出せない沼にハマっていることに気がつく。
カレーを食べてから歯も磨いていない。
親知らずを四箇所抜いてから、やっと痛みが治まってきた口内が少しヒリヒリする。
歯を磨きたいが、まだなにか食べたい気分だった。
二回磨くことにしようと、洗面台に向けて動いた。
不思議なことに歯を磨き始めてしまえば、これからの買い出しもいける気がしてきた。
ワンカップとチーズスナック菓子を部屋まで運ぶとゆっくりと嗜んだあと歯を磨いて、玄関先に置いた背面の割れた予備のスマートフォンのアラームを一一時にセットする。
明かりを消し、七時間の睡眠を確保するために、少しの眠気にすがって目をつむった。
アラームがなったが、寒すぎて布団から出る気にはなれなかった。
ほんの数週間前であれば深夜〇時に就寝、朝七時に起きて寒さを振り切ってシャワーに向かった。
どうにか流れを引き戻したいところだ。
結局アラームを起点にスマホを手にして動画を見た後、一三時にようやくソファーベットを出ることに踏み切った。
シャワーを浴びて、昨日買ってきた服に着替える。
鏡の前で見た目を整えてから、パソコンとスマホを持って出かける。
クレメントビルに入った一〇〇円ショップで、今日作るハンバーガーの肉をひっくり返す金ヘラを求めたが、見た目が気に入らず断念した。
しばらくはフォークで返すことになるだろう。
そのままアミコビルに入った図書館へ移動する。
PCを扱えるテーブル席を確保すると、今こうして日記を書き始めた。
文章を書くときに新たに意識することにしたのが、変にひねらないことだ。
思えばいつも、独特な文章を書くことにこだわっていた気がする。
するとすぐに考え込んで手が止まるのだ。
最近思い描いている事がある。
自分のホームページを作って、デザイン・イラスト・小説・日記・音楽の五つの形態で作品を公開していければと思っている。
まずはホームページのデザインから考えよう。
日記はもう少し簡潔にして毎日書こう。
一日一作は人に見せられるものを作っていかなければいけない。
イラストなどは一日でどうにかならない場合もあるため、この日記を毎日書くことでノルマ達成したこととしよう。
この後の予定はまだ決めていないが、帰りにウィスキーか梅酒の原液を買いに行く。
五日に友人と飲み会があるため、酒慣れしている姿を見せなくては。